点滴スタート!「電解質輸液塾」

おすすめ度

受験生★☆☆

大学生★★☆

獣医師★★★

本日、ご紹介するのは点滴(輸液)の入門書

電解質輸液塾 改訂2版

門川俊明 慶應義塾大学医学部医学教育センター教授 著

輸液っていうと馴染みは薄いかもしれませんが、点滴といえばイメージしやすいと思います。

本書は人医療の点滴入門書的な存在で、主に研修医や医学生、医療職向けに執筆されていますが、獣医師や獣医学生にもとても勉強になる良書です。

もう3~4回は通読していますね。私の専門書の読み方はとにかく何回も読むこと。読むに値すると思った場合だけですが。

時には連続で通読するもよし、類書を読んだあとに通読するもよし、類書と並行しながらセクションごとに読むもよしです。

輸液の原理原則は大昔からそれほど変わっていません。毎年毎年、知見が出て…という領域ではないのでとにかく本質的な考え方、治療のベクトルが大事です。

この本は大局的な考え方を教えてくれます。YouTubeにも関連動画が上がっているので、本書と並行して観れば、より理解が深まるかと思います。

受験生なら化学平衡の分野で酸塩基について学ぶでしょうし、大学生なら代謝生化学あたりでアシドーシスとかアルカローシスとか学習していると思います。

人や動物は、肺炎になって呼吸不全になったり、激しい下痢をして脱水したりして、ホメオスタシス(生体内環境)が乱れていこうとします。

大雑把に言うと、肺炎だったり下痢だったりで、体の中が酸性になり過ぎたり、アルカリ性になり過ぎたりすると、または単純に極度の脱水を起こしたりすると、

体の中で正常な化学反応が進まなくなります。

このような状態を内科的に改善しようという試みが輸液になります。

獣医学生時代は授業でさらっと勉強した程度で、輸液剤の種類なんかも臨床現場に出ると数えきれないくらいありますが、現場に出ると自分の頭で動物の病態を考えて輸液剤を投与しなくてはなりません。人様のようにベッドや椅子の上でじっとしていてくれるわけではないので、要領よくやらないと動物が暴れて輸液チューブが抜けてしまうこともよくあります。

ベテランの獣医師に言われたのは、「輸液チューブが抜けるぐらい暴れるなら元気があるのなら、そもそも治療しなくても大丈夫」というユーモラスな台詞でした。

本書は本質をざっくり述べているので、もしかしたら逆に理解しにくいと思う読者もおられるかもしれません。

獣医学領域の同分野の専門書で言うと、

「犬猫の輸液療法」(https://www.midorishobo.co.jp/SHOP/4157.html)や

「牛の輸液」(https://www.midorishobo.co.jp/SHOP/4150.html)、などがありますが、どちらも1万円以上とやや高価です。

職業柄、牛の輸液はもう5~6回は通読していますが、まだまだ読むたびに新しい発見があります。それだけ濃厚な仕上がりとなっております。

ただ、電解質輸液塾を読んで牛の輸液の理解も深まり、また逆も然りだったので、同分野の書籍であったても何冊か読み比べてみると、相互理解が深まり、結果的に本質に到達しやすくなると思います。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です